オリンピックってなんだろう
オリンピックってなんだろう?
私がオリンピック期間中、毎日通っていた施設のイントロダクションで流れている映像で問いかけている言葉です。
一日中ループで流れ続けるこのワードを何百回、もしくは千回以上聞いたかもしれません。
ずっと耳に残り続けたこのワード。
「自分にとってのオリンピックってなんだったんだろう」
オリンピックが閉会してからもずっと考えていました。
東京オリンピックについて賛否両論ある事はもちろん理解していますが、
今振り返ってみて自分なりの答えを見つけた気がするので、ブログに残しておこうと思いました。
東京オリンピック開催決定
2013年9月のIOC総会で2020年の東京大会開催が決まりました。
滝川クリステルさんの「おもてなし」のプレゼンテーションはすばらしかったし、
開催決まった瞬間の喜びは今でもはっきりと覚えています。
世界最大のイベントが日本で開催される。
イベンターとしてキャリアを積んで迎えるオリンピックと自分はいったいどんな関りが出来るんだろう。
考えただけでワクワクせずにはいられなかったです。
イベント業界は2016年のリオデジャネイロオリンピックが終わって以降、2020年に向けて確実に盛り上がっていました。
告知イベントやスポンサー案件など、各地で関連イベントは開催されていましたし、
2019年には競技のプレ大会も開かれて準備は進んでいました。
はじめて目にしたオリンピック
ちょうどご縁があって2018年平昌オリンピック案件にお声がけいただき、1か月現地に滞在する事ができました。
そこで目にしたオリンピックは想像をはるかにこえるスケールでした。
山奥にある小さな街にあふれる世界中の人々。国中から寄せ集められたと思われるバス。所狭しと建てられているパビリオン。何よりもどこからともなく街中に溢れる熱気。
冬季オリンピックは夏季に比べて参加国数、選手、競技種目も予算もすべて少ない。
ましてや、平昌という人口5万人にも満たない街でこれだけの盛り上がりなのだから、
東京大会はいったいどれほどのスケールになるのか想像もつきませんでした。
コロナ渦でのオリンピック開催
2021年夏に開催された東京オリンピックは日本選手団の活躍こそありましたが、
平昌で私が見た盛り上がりはかけらもありませんでした。
コロナ渦での実施。反対が多いのも理解できますし、
実際に今回のオリンピック期間中に抗議行動を何回も目の前で見ました。彼らの主張にも当然一理あると思います。
私はイベントに関わる人に楽しんでもらいたい。そして日本を元気にしたい。
そんな大それたことはできないかもしれませんが、自分の仕事に関わった人、イベントに参加してくれた人には少しでもそんな思いが伝わったらなとそんな思いでイベントを作ってきました。
でも、真っ向から反対する人たちや、批判的な報道を見るととても複雑な気持ちになるし、迷った事もありました。
私みたいな端っこで関わっている人間ですら思う事があるのだから、
最前線で戦っていたアスリートはいったいどんな気持ちだったのだろうか。想像もつきません。
私にとってのオリンピック
体操の内村選手が鉄棒から落下した後に残したコメントが非常に印象的でした。
「代表落ちてから、またはい上がってきて、また今日こうやって落とされたんで、『報われない努力もあるんだ』って思ったし、『努力の仕方が間違っていたんだろうな』とも思うし。でも、『あらためて体操は面白いな』と思いましたけどね、失敗してなお。『人生においてこういうことも大切なんだろうな』って凄く思います」とコメントしていました。
オリンピックってなんだろうの問いかけに対して、私なりの答えです。
がんばっても結果が出ない人もいるし、努力が報われないこともあります。
「夢は信じ続ければいつかは叶う」は嘘だと思います。
でも、一つの事に一生懸命がんばっている姿はただひたすらに純粋で美しい。そしてそれを支える人もまた素晴らしい。
そのことを教えてくれました。
開催されるかもわからない状況の中で苦しい練習を続けてきたアスリートを見て感動しました。心が動かされました。
イベント業界も逆境ですが、明日への活力をもらいました。ありきたりですが、心の底から思ったのは初めてでした。
一流のアスリートだけでなく、世の中にはスポットライトはあたらないけど、
自分なりに一生懸命がんばっている人がたくさんいます。
私も自分の仕事に誇りを持って、信念を貫いて、進んでいこうと決意を新たにしました。
PS:オリンピックが開催されて良かったか悪かったかはわかりません。でも、私の尊敬する同業者の1人がSNS上で「賛否両論ありますが、自分は賛成する側の人間で良かったなと思います」と発信していました。少なくとも私もそっち側の人間です。